
コラム
障害福祉のアセスメント|シートを埋めれば終わりじゃない?
アセスメントシートがあれば大丈夫?
障害福祉事業所では、利用者への支援を考えるためにアセスメントを行います。
そのためのアセスメントシートを用意し、必要な内容を記録しておくことも大切です。
ただ、ここで気をつけたいのが、
「アセスメントシートがある」 「すべての項目を埋めている」
ということと、
「その利用者について必要なアセスメントができている」
ということは、必ずしも同じではないという点です。
アセスメントシートは、利用者を理解するための道具の一つです。
シートを完成させること自体が、アセスメントの目的ではありません。
シートを埋めることと、利用者を見ることは違う
アセスメントシートには、生活状況や本人の希望、できること、困っていることなど、さまざまな確認項目があります。
こうした項目を順番に確認していくことには意味があります。
一方で、シートを完成させることに意識が向きすぎると、
「この空欄には何を書けばいいか」
という作業になってしまうことがあります。
本来見るべきなのは、空欄ではなく利用者本人のはずです。
本人の言葉だけでは見えないこともある
本人が「特に困っていません」「自分でできます」と話していても、実際の生活状況を見ると、別の課題が見えてくることがあります。
たとえば、本人は「お金の管理は自分でできています」と話している一方で、実際には月の途中で生活費が足りなくなり、家族に補ってもらうことを繰り返しているようなケースです。
本人としては「自分で管理できている」という認識なのかもしれません。
一方で、実際の生活状況を踏まえると、金銭の使い方や管理方法について、もう少し確認した方がよい可能性もあります。
また、自分をよく見せたい、できないことを知られたくない、相手が期待している答えを返したい、といった気持ちが働くこともあります。
だからといって、本人の話を信用しないという意味ではありません。
本人が話していることを大切にしながら、実際の生活や行動、周囲から得られる情報なども含めて見ていく必要があります。
その中で、本人の認識と実際の状況にズレがないかを考えることも、支援者にとって必要な視点です。
様式にないことも、必要なら確認する
既存のアセスメント様式を使っていても、その利用者について追加で確認したいことがあれば、別途確認して記録すればよいでしょう。
大切なのは、様式にある項目だけを確認することではなく、その利用者を理解するために必要な情報を把握することです。
「使っているアセスメントシートにその項目がないから、確認していない」
となってしまうと、結果として、様式に書かれている範囲だけで利用者を見てしまうことになります。
アセスメントシートに利用者を合わせるのではなく、利用者を理解するためにアセスメントシートを使う。
この順番は意識しておきたいところです。
書類が整っていても、支援を考えるときに困ることがある
アセスメントが形式的なものになっていても、日々の業務そのものは進められるかもしれません。
アセスメントシートを作成し、個別支援計画を作り、決められた時期に見直す。
書類だけを見れば、必要なものは揃っているように見えます。
しかし、支援を深く考えようとしたとき、
「なぜこの利用者はこの行動をするのか」 「本人が本当に困っていることは何なのか」 「どのような支援なら生活が変わるのか」
といったことを考えようとしても、その理由や背景まで十分に見えてこないことがあります。
こうしたことを考えるには、シートの項目を埋めるだけでなく、本人の生活状況や行動、その背景まで見ていく必要があります。
アセスメントは、書類を作るために行うものではなく、その後の支援を考えるために行うものです。
「あるか、ないか」だけで終わらせない
事業所の書類を確認するとき、「アセスメントシートがあるか」という確認はもちろん必要です。
ただ、それだけでアセスメントの状況まで判断することはできません。
どのような情報を把握しようとしているのか。
なぜその情報が必要なのか。
把握した内容が、個別支援計画や実際の支援にどうつながっているのか。
そこまで見て初めて、アセスメントが実際に機能しているかが見えてきます。
書類を揃えることと、その書類が実際の支援の中で機能していることは別です。
当事務所では、書類があるかどうかだけでなく、その内容が実際の運用や支援につながっているかも確認しながら、障害福祉事業所の運営整理を支援しています。
「書類はあるけれど、実際の運用や支援につながっているか分からない」「今の運用でよいのか確認したい」といった場合も、ご相談ください。