コラム
指定申請や運営指導で、行政との前提がずれることがある
隠したつもりがなくても、前提がずれていることがある
指定申請や運営指導に関する相談では、事業所として隠し事をするつもりはなかったのに、行政とのやり取りの中で「その話は聞いていない」と受け取られてしまうことがあります。
事業所側としては、今の段階ではまだ伝えなくてもよいと思っていた。
あるいは、そこまで重要な話だとは考えていなかった。
そうしたことは、実際には珍しくありません。
ただ、そのまま手続きや運営が進むと、後から前提のズレとして表に出ることがあります。
苦しくなるのは、隠したことそのものより「共有されていないこと」
こうした場面で苦しくなるのは、単に何かを言わなかったという事実だけではありません。
本当に問題になるのは、行政と事業所との間で、前提が共有されないまま進んでしまうことです。
例えば、
- 行政は、一定の条件が整っている前提で手続きを進めている
- 事業所は、実際には別の事情を抱えたまま進めている
この状態では、その場では通っているように見えても、後から話が噛み合わなくなります。
つまり、隠したつもりがあるかどうかではなく、共有されていない前提が残っていることの方が、後から重くなりやすいということです。
後から伝えると、取れる方法が少なくなりやすい
もう一つ大きいのは、共有のタイミングです。
早い段階で事情を共有できていれば、
- どのような準備が必要か
- どの手続きを先に整理すべきか
- 今の状態で何が問題になるのか
を、事前に整理しやすくなります。
一方で、ある程度進んだ後に事情が出てくると、
- すでに進めた手続きをどう扱うか
- 前提が違っていたことをどう説明するか
- どこまで修正できるのか
という話になりやすく、対応の幅が狭くなります。
後から苦しくなるのは、隠したことが悪いというより、整理できる余地が小さくなってしまうからです。
共有したことで、適正な準備ができることもある
実際に、事業所としては隠すつもりがなかったものの、行政側からは「その話は聞いていない。このままでは指定を出せない」と言われたケースがありました。
このまま進めていれば、後から大きく手戻りが出てもおかしくない状態だったと思います。
ただ、その時点で行政に事情を共有したことで、何が問題で、どのような準備が必要なのかを整理することができました。
その結果、適正な形で準備を進め、無事に指定を受けることにつながりました。
このように、共有することでかえって進めやすくなることもあります。
行政は「敵」だから厳しいわけではない
こうしたやり取りの中で、行政が厳しく見えることはあります。
ただ、それは感情的に敵視しているからというより、制度の前提に沿って確認しているからです。
行政は、制度に基づいて指定や運営の可否を判断します。
そのため、前提が違っていた場合には、その前提で進めた手続きや運営をそのまま認めることが難しいことがあります。
事業所側からすると厳しく見えても、行政としては、その前提でどこまで整理できるのかを見ているだけということも少なくありません。
大切なのは、隠すかどうかよりも、いつ整理するか
このテーマで重要なのは、正直に言うべきかどうかという道徳の話ではありません。
本質は、
- 今どのような事情があるのか
- その事情が制度上どう見えるのか
- その前提で、どう進めるのがよいのか
を、早い段階で整理できるかどうかです。
隠したつもりはなくても、前提の共有が遅れると、後から苦しくなりやすい。
それは、嘘がよくないからというより、整理の余地が小さくなるからです。
制度に基づいて進む事業だからこそ、後から辻褄を合わせるより、早い段階で事情を共有し、前提を揃えておく方が、結果として無理のない運営につながりやすいのだと思います。