
コラム
支援記録から支援の経緯が見えないと、何が困るのか
支援記録は、ただ残していればよいわけではない
障害福祉の現場では、日々の支援記録を作成します。
支援を行ったこと。利用者の様子。その日の活動内容。職員が気づいたこと。
こうした内容を記録として残していくことは、事業所運営において大切な作業です。
ただ、支援記録は、単に「記録がある」というだけで十分とは限りません。
記録は残っている。しかし、後から見たときに、何を見て、どのように支援したのかが分かりにくい。
そうした状態になることがあります。
活動内容だけでは、支援の経緯が見えにくいことがある
支援記録を見ていると、その日の活動内容は書かれていても、支援の経緯が見えにくいことがあります。
例えば、
- 何をしたのか
- どこへ行ったのか
- どの活動に参加したのか
といった内容は書かれている。
しかし、
- 利用者にどのような様子があったのか
- 職員が何を見て、どう関わったのか
- その対応が支援方針とどうつながっているのか
までは見えにくい。
もちろん、活動内容を記録すること自体は必要です。
ただ、それだけでは、支援として何を見ていたのかが残りにくくなることがあります。
支援者の関わりが見えないと、後から説明しにくくなる
支援記録で重要なのは、利用者の様子だけではありません。
その様子に対して、職員がどう関わったのか。なぜその対応をしたのか。その後、どのような変化があったのか。
こうした流れが見えるかどうかも重要です。
例えば、利用者が落ち着かない様子だった場合でも、単に「落ち着かなかった」と残すのか、どの場面でそうなり、職員がどう関わったのかまで残すのかで、後から見たときの意味は変わります。
支援者の関わりが見えない記録では、事業所としてどのような支援をしていたのかが分かりにくくなります。
トラブルだけが目立つ記録になることもある
支援記録では、どうしても問題が起きた場面やトラブルがあった場面が目立ちやすくなります。
もちろん、事故、ヒヤリハット、他利用者とのトラブル、体調不良、不穏な様子などは、必要に応じて記録しておく必要があります。
ただ、問題が起きた場面だけが記録に残り、日々どのような支援を積み重ねていたのかが見えない状態になると、利用者像が偏って見えることがあります。
本来は、
- 普段どのように過ごしているのか
- どのような支援で安定しているのか
- どのような場面で変化が出やすいのか
- 職員がどのような関わりを続けているのか
といった積み重ねも大切です。
トラブルの記録だけでは、支援の全体像は見えにくくなります。
職員ごとの書き方が違うこと自体は、必ずしも悪いことではない
支援記録は、職員によって書き方に違いが出ることがあります。
見ている場面が違う。利用者との関係性が違う。気づくポイントが違う。
そのため、職員ごとに記録の視点が多少違うこと自体は、必ずしも悪いことではありません。
むしろ、複数の職員がそれぞれの視点で利用者を見ているからこそ、気づけることもあります。
ただし、最低限残すべき視点が共有されていない場合は別です。
- 利用者の様子
- 職員の関わり
- 支援方針とのつながり
- 次に確認すべき点
こうした基本的な視点が共有されていないと、記録は残っていても、事業所全体として何を見て支援しているのかが分かりにくくなります。
個別支援計画やモニタリングにつながっているか
支援記録は、日々の出来事を残すだけのものではありません。
個別支援計画やモニタリングともつながっています。
日々の支援記録に利用者の変化や支援の経過が残っていれば、モニタリングの際に振り返りやすくなります。
一方で、記録が活動内容だけにとどまっていたり、支援者の関わりが見えなかったりすると、モニタリングで何を確認すべきかが曖昧になりやすくなります。
その結果、
- 計画の見直しにつながらない
- 次の支援方針が見えにくい
- 職員間で共有すべき変化が拾いにくい
という状態になることがあります。
支援記録、個別支援計画、モニタリングは、それぞれ別々の書類ではあります。
しかし、支援の流れとしてはつながっているものです。
運営指導のためだけに記録を整えるわけではない
支援記録は、運営指導のためだけに整えるものではありません。
本来は、日々の支援を振り返り、利用者の変化を確認し、次の支援につなげるためのものです。
ただ、日々の支援の経緯が記録に残っていなければ、運営指導で確認されたときにも、なぜその支援をしていたのかを説明しにくくなることがあります。
重要なのは、指摘されるかどうかだけではありません。
事業所として、
- 何を見ていたのか
- どのように関わっていたのか
- その支援が個別支援計画とどうつながっていたのか
を説明できる状態になっているかどうかです。
当事務所のサポート
当事務所では、支援記録について、書類の有無だけでなく、日々の支援や個別支援計画、モニタリングとのつながりを整理しています。
- 支援記録から支援の経緯が見えるか
- 活動内容だけの記録になっていないか
- 職員の関わりや判断が記録に残っているか
- 個別支援計画やモニタリングにつながる記録になっているか
- 運営指導時に支援の流れを説明できる状態か
こうした点を確認し、支援記録が事業所内での支援方針の共有や見直しに活かされる状態を整えることをサポートしています。
支援記録は、支援の流れを残すものでもある
支援記録は、日々の出来事や支援の様子を残すためのものです。
ただ、それだけではなく、利用者の変化や職員の関わり、支援方針とのつながりを後から確認するためのものでもあります。
記録があることと、支援の経緯が見えることは同じではありません。
支援記録が、日々の支援、個別支援計画、モニタリングとつながっているか。
そこを確認しておくことが、事業所内で支援の方向性を揃えるうえで大切になります。