
コラム
「請求できる」と「説明できる」は違う。障害福祉事業所に必要な運営の視点
請求が通ると「大丈夫」と思ってしまう
正直にいえば、私自身も障害福祉事業所で請求を担当していたころ、請求が通ると、
「システムに弾かれなかったのだから、大丈夫だろう」
と考えていました。
制度をまったく確認していなかったわけではありません。
それでも、請求している報酬や加算の要件を、すべて正確に理解できていたとはいえません。
請求が通ることと、実際の職員配置や支援内容、記録が算定要件を満たしていることは、別の問題です。
問題が見つかるのは、請求した後のこともある
請求時には、入力内容や請求データ上の不整合などが確認されます。
一方で、実際の勤務表や支援記録、個別支援計画までを確認し、算定要件を満たしているかまで判断されるわけではありません。
必要な職員を配置していたか。
算定の対象となる支援を実施し、その内容を記録していたか。
個別支援計画への位置付けや、必要な会議、研修などが行われていたか。
こうした点は、自治体による請求内容の確認や運営指導などで、後から確認されることがあります。
事業所としては、
「請求は通っていたのに、なぜ今になって問題になるのか」
と感じるかもしれません。
しかし、不備が見つかれば、請求の修正や返還が必要になることもあります。
書類を見直せばよい、とは限らない
では、勤務表や支援記録を事業所内で見直せば十分かというと、必ずしもそうではありません。
算定要件を理解できていなければ、書類を見ても、どこに問題があるのか判断できないことがあります。
勤務表があっても、どの職種をどの時間帯に配置する必要があるのか分からなければ、人員配置の不足には気付けません。
支援記録があっても、加算の要件として何を残す必要があるのか分からなければ、記録が十分かどうかを判断できません。
これは、確認する人の注意力だけの問題ではありません。
何を基準に確認するのかが分からないままでは、何度書類を見直しても前に進まないことがあります。
何を請求し、何で説明するのか
事業所内で確認する場合は、書類を一通り眺めるのではなく、請求している報酬や加算から確認していく方が整理しやすくなります。
何を請求しているのか。
その算定要件は何か。
その要件を、どの資料で説明するのか。
この順番で、届出書、勤務表、出勤簿、資格証、個別支援計画、支援記録、会議録などをつなげて確認します。
大切なのは、書類がそろっているかだけではありません。
請求内容と、実際の職員配置や支援、記録が一致しているかを見ることです。
分からないときに止まれる体制をつくる
算定要件そのものが分からない場合には、事業所内で確認を繰り返すだけでは判断できません。
その場合は、通知を確認する、自治体へ問い合わせる、外部へ相談するなど、まず判断の基準を明らかにする必要があります。
障害福祉の報酬や加算は複雑で、請求担当者がすべてを一人で理解し続けることは簡単ではありません。
判断に迷ったときに、そのまま進めず、一度立ち止まって確認できるか。
事業所内で判断できない場合に、どこへ確認するのかが決まっているか。
こうした流れを持っておくことも、請求や加算算定を適切に続けるための運営体制の一部です。
当事務所では、請求内容と職員配置、支援記録、個別支援計画、届出内容などをつなげて確認し、後から事業所として根拠を説明しやすい状態へ整理するサポートを行っています。