コラム
外部委託しているのに、なぜリスクに気づけなくなるのか ──「書類が通っている=問題ない」という思い違いが生む構造
起きているのは「安心」ではなく「盲点」
- 制度対応や加算対応を外部に委託している
- 申請書類は問題なく受理されている
- 現場の配置や運用は、制度要件とズレている
- それでも「書類が通っているから大丈夫」と思ってしまう
この状態で特徴的なのは、不安が残ることではありません。むしろ、「不安に気づけなくなる」ことです。
阪神間(尼崎・伊丹・西宮・宝塚など)の事業所でも、運営指導の場面で初めて「ズレ」を認識するケースは少なくありません。
なぜ「気づけない状態」が生まれるのか
- 制度が複雑化し、現場運用との対応関係が見えにくくなっている
- 外部委託の業務が、書類作成・申請代行に集中しやすい
- 制度要件を満たす前提条件が、事業所側に整理されない
- 「申請が通った」という事実が、判断を代替してしまう
多くの場合、外部委託先は「この書類を、この前提で作れば通る」という作業を担っています。
一方で、「その前提条件が、今の現場でも維持されているか」までは、業務範囲に含まれていないことがほとんどです。
一般的な行政書士業務とのズレ
ここで誤解されやすいのですが、これは行政書士の姿勢の問題というより、業務設計の問題です。
- 行政書士は、制度要件を満たす形で書類を整える
- 現場の人員配置や日々の運用を、常時把握する立場ではない
- 書類が通った後の「維持されているか」は、事業所側の運営領域
この分業構造のまま運営が進むと、「書類が通っている=現場も適正」という思い違いが生まれやすくなります。
見えないまま進むリスク
- 職員の退職や配置変更で、要件未達になっている
- 加算の前提が崩れていることに、誰も気づいていない
- 運営指導で初めて基準違反を指摘される
- 是正、返戻、返還につながる
最も大きなリスクは、事業所自身が「今どこにリスクがあるか」を把握できていない状態です。
不安があるのではなく、不安を感じるための材料が手元にない、という状態とも言えます。
たとえば、
これらはいずれも、「書類が通っていること」が、現場の状況を確認し続ける代わりになってしまった結果とも言えます。
必要なのは「書類」ではなく「前提の可視化」
この問題は、書類を増やすことや、委託先を変えることで解決するものではありません。
- 制度要件と現場運用の前提条件を整理する
- どの配置・どの運用で要件を満たしているのかを言語化する
- 人員変更時に、どこを再確認すべきかを明確にする
- 外部委託に任せる範囲と、事業所が把握すべき範囲を切り分ける
「書類を通す作業」と「制度を満たし続けているかの判断」は、別物です。
当事務所のサポート
- 制度要件と現場実務の関係整理
- 「どこまで適正で、どこから注意が必要か」の線引き
- 職員の入れ替え・体制変更時の確認ポイント整理
- 行政確認が必要な場面の切り分け
- 書類作成に依存しない、判断できる状態づくりの支援
当事務所が書類作成を主業務にしていないのは、書類を通すこと自体が、リスク把握の代わりにはならないからです。
「任せている」からこそ、判断の空白が生まれる
外部委託をしていること自体が、問題なのではありません。問題になるのは、「誰が、何を、どこまで判断しているのか」が整理されないまま、運営が続いてしまうことです。
書類が通っているかどうかと、制度を満たした運営が継続できているかどうかは、別の話です。
この違いが曖昧なまま進むと、リスクは「存在していない」のではなく、「見えなくなっている」状態になります。
制度は、知識だけでは守れません。現場の配置、日々の運用、判断と結びついてはじめて、維持されます。
その結び目を整理し、「今、何が前提になっているのか」「どこが変わると注意が必要になるのか」を事業所自身が把握できる状態をつくること。
それが、当事務所が提供しているサポートの本質です。