
コラム
不正請求や返還のニュースを見たときに、障害福祉事業所が振り返りたいこと
不正請求や返還のニュースを目にする機会がある
障害福祉サービスに関する不正請求や返還のニュースを目にすることがあります。
実際には行っていない支援を、行ったことにする。
勤務していない職員を、配置していたことにする。
算定要件を満たしていないと分かりながら、請求を続ける。
このような悪質な事例を見ると、
「うちとは関係のない話だ」
と感じる事業所も多いと思います。
実際、故意に事実と異なる請求をすることと、日常の運営で判断を誤ることは同じではありません。
ただ、まったく関係のない話として終わらせるのではなく、自事業所の運営を振り返るきっかけとして受け止めることはできます。
悪質な不正と、日常の判断ミスは分けて考える
障害福祉事業所で起こる請求上の問題が、すべて意図的な不正とは限りません。
制度の理解が十分でなかった。
以前から続いている運用を、そのまま引き継いでいた。
現場の変更が、請求担当者へ伝わっていなかった。
こうした事情から、実際の運営と請求内容にずれが生じることもあります。
もちろん、知らなかったというだけで、誤った請求が問題にならなくなるわけではありません。
一方で、日常の判断ミスや確認不足まで、悪質な不正と同じように捉える必要もありません。
大切なのは、必要以上に恐れることではなく、どこでずれが生じたのかを確認し、同じ状態を続けないことです。
「以前からこうしている」が根拠になっていないか
事業所の運営では、過去のやり方がそのまま続いていることがあります。
前任者から引き継いだ方法だから。
以前から同じ加算を算定しているから。
これまで特に指摘を受けていないから。
日々の業務が回っていると、改めて制度上の根拠を確認する機会は少なくなります。
しかし、制度は変わります。
職員の配置や勤務時間も変わります。
利用者への支援内容や、事業所内の役割分担が変わることもあります。
以前は問題のなかった運用でも、現在の体制では要件を満たしていない可能性があります。
ニュースを見たときは、自事業所でも「以前からこうしている」という運用が、現在の制度や実態に合っているかを振り返る機会にできます。
現場の変化が請求に反映されているか
請求内容と実際の運営がずれる原因は、請求担当者だけにあるとは限りません。
職員の勤務時間が変わった。
兼務する業務が増えた。
支援の実施方法や回数が変わった。
必要な会議や記録の残し方が変わった。
こうした現場の変化が請求担当者へ伝わっていなければ、請求だけが以前のまま続くことがあります。
また、管理者が変更を把握していても、それが加算や報酬の要件に影響するとは考えていない場合もあります。
現場、管理者、請求担当者が、それぞれ自分の担当する範囲だけを見ていると、全体のずれに気付きにくくなります。
最近、職員体制や支援内容に変更があった場合には、その変更が届出や記録、請求に反映されているかを確認しておきたいところです。
ニュースを不安材料だけで終わらせない
不正請求や返還のニュースを見たからといって、事業所内のすべての書類と請求を一度に見直す必要はありません。
まずは、現在算定している加算や報酬の中で、職員体制や支援内容に変更があったものから確認する方が現実的です。
その請求は、現在の職員配置や支援内容に合っているか。
制度上の要件を、事業所内で説明できる人がいるか。
現場で変更があったときに、管理者や請求担当者へ伝わる流れがあるか。
悪質な事例として完全に切り離すのでも、必要以上に不安になるのでもなく、現在の運営や請求を振り返るきっかけとして受け止めることが大切です。
不正請求や返還のニュースを見たときには、まず、最近変更のあった職員体制や支援内容が、届出や記録、請求に反映されているかを確認してみるとよいでしょう。
ただ、実際に確認しようとしても、どの要件を、どの資料と照らし合わせればよいのか分かりにくいことがあります。
当事務所では、請求内容と職員配置、支援記録、届出内容などを確認し、実際の運営とのずれを整理するサポートを行っています。