運営指導 準備・対策のポイント

【目次】
◆運営指導ってなに?
◆運営指導の事前準備
◆事前準備の優先順位
◆まとめ

運営指導ってなに?

運営指導(旧 実地指導)とは

(指導監査と呼ばれることもあります。)

行政の職員が、あなたの障害福祉サービス事業所を直接訪問します。

頻度は様々ですが、どの事業所も必ず運営指導は行われます。

そして、運営指導では「事業所を適正に運営することができているか」をチェックされます。

どんなことをチェックするの?

では、行政の職員は、いったいどういうことをチェックするのでしょうか?

実は、障害福祉サービス事業所を運営するにあたって、守らなければならないことがたくさんあります。

ハッキリと申し上げて

みたいなことが山ほどあります。

たとえば……
・いろんな委員会の設置
(虐待防止、身体拘束適正化、衛生など)
・BCPは作るだけじゃなく、研修と訓練が必要
・その他にも、法律で決められた研修や訓練が必要
・WAMネットでの情報公開は義務
(貸借対照表などを含む)
・利用者さんに、毎月、代理受領通知書を渡す

いかがでしょうか。

あなたは、全部ご存じでしたか?

これ、実はすべて基本中の基本なのです。

事業所を運営するには、こういったルールを守らなければなりません。

行政職員は、その「ルールを守れているか」を確認しに訪れます。

また、行政職員は、すべて知ってて当たり前のものとしてあなたの事業所を訪れます。

運営指導(実地指導)の 
事前準備

何を準備したらいいの?

当事務所では、以下の資料などを参考に、準備・対策を進めています。

・事業者ハンドブック(緑色・指導監査編) 
※市販されているものです
・行政が用意している資料 

※各自治体のホームページに掲載されていることもありまず

行政の職員も、これらの資料をもとに運営指導を実施します。

「じゃあ、これさえあれば、対策できるんですね!?」

このようにおっしゃる方も多いのですが、半分正解で半分不正解です。

正確には「これらの資料を読み解き、意味を理解できれば対策可能」と言えます。

実物をご覧ください

このように、尼崎市のホームページには、運営指導用の資料が掲載されています。

・このエクセルデータに目を通し
・意味を理解した上で
・必要な準備を進める

これらのことができれば、完璧な運営指導対策となります。

読んでみたけど 
なにを言っているのかが
分からない……

そうなんです。

実は、大半の方がそのようにおっしゃいます。

かく言う私も、事業所に勤務していた頃は、何が何やらさっぱり分かっていませんでした。

※注:資料に目を通し、「問題ない」と感じられた方は、この記事をこれ以上読むメリットはありません。

ただ、どれだけ分からなくても、行政の職員は必ずやってきます。

そして、基準を満たすことができていない問題点を指摘されます。

事前準備の優先順位

何から手をつければいいの?

厳密に言うのであれば

先ほどの資料に書かれていることは、《すべてクリア》しなければなりません。

しかし、これだけ膨大な項目があるため、優先順位をつけることも不可能ではありません。

【優先順位】
1.減算を受けない体制を取れているか
2.正しく加算を取れているか
3.その他報酬に影響するポイント
4.報酬に影響は出にくいが重要な基準

やはり、まずは報酬(売上)に直接的に影響する部分から準備を進める方が良いでしょう。

減算や返戻は、誰しもが受けたくない、絶対に避けたい部分です。

1.減算を受けない体制

主な減算は、どういったものがあるかご存じでしょうか。

すぐに思い浮かばないようでしたら、要注意ですよ!

・虐待防止措置未実施減算
・身体拘束廃止未実施減算
・情報公表未報告減算
・業務継続計画未策定減算

他にもあるのですが、まずは、この4種の減算を押さえておきましょう。

減算については、こちらもあわせてご覧ください。

2.正しく加算を取れているか

ここは、意外と見落としがちです。

・人員配置が不足したまま加算を取っていた
・加算要件が変わったことを知らずに加算を取っていた
・よくわからんけど加算が取れたから取ってた

なんとなーく加算を取っていると、こういった状況になりがちです。

では、加算要件を満たしていない状態で加算を取り続けるとどうなるのか。

もちろん、返戻です。

基準違反となっている期間の加算を返さなければなりません。

そうなる前に、要件を満たすことができているのか、確認しておきましょう。

3.その他報酬に影響するポイント

ここも、つい忘れがちなポイントです。

・人員配置基準を満たしていない
・支援計画を正しく作れていない
・在宅支援に必要な要件を満たしていない

◇「7.5:1」で申請していたが、実際は10:1になってしまっていた
◇支援計画を作っていない、アセスメントやモニタリングを実施していない
◇在宅支援において、1日2回の連絡や月1回の訪問・通所面談を実施していない

また、モニタリングなどを実施していたとしても
「記録が残っていなければ実施していないものとみなされる」点にも注意が必要です。

他にも、施設外就労を行っている場合の人員配置は間違えやすいので、要注意です。

4.報酬に影響は出にくいが重要な基準

・重要事項説明書や利用契約書が、運営規程との整合性が取れているか
・非常災害対策指針やマニュアルの策定
・ハラスメント対策指針の策定

報酬に影響が出にくいこともあり、事業所様の認知度も低めです。

だからと言って、何もしないというのは非常に危険です。

なぜなら、報酬に影響が出にくいだけであって、営業停止新規利用者の受け入れ停止などが想定されるためです。

まとめ

ということがたくさんあったのではないでしょうか。

報酬改定のたびに「義務化」がどんどん増え「減算」も同じように増えています。

そうは言っても「知らなかった!」からと言って減算や返戻を免れることもできません。

だからこそ、常日頃からアンテナを張って、体制を整備することが欠かせないのですね。

そして、ここまでご覧いただいた方に、これ以上の説明は不要だとは思いますが

優先順位をつけることはできるものの、準備しなくて良いことは何もない

ということもお分かりいただけたのではないでしょうか。

「運営指導の通知が届く前に、普段から体制を整えること」

これこそが、なによりも大切なのです。
※実際は、支援などで忙しくて、そんな余裕はないですよね……。
※事業所に勤めていた頃の私も、準備できていませんでした……。

少しでも、事業所の負担を軽減するためにも。

そして、運営指導に慌てなくても済むように。

少しずつ、少しずつ、準備を進められることをおすすめいたします。

困ったときは 
ご相談ください

そして、準備を進められる上で

「どうしても、わからない……。」

ということが、出てくるかもしれません。

そんなときは、当事務所へご相談ください。

ご不明な点を解消できるよう、わかりやすくご説明を差し上げます。