【目次】
◆運営指導ってなに?
◆乗り切るために大切なことは?
◆何を準備すればいいの?
◆事前準備の優先順位
◆まとめ
運営指導ってなに?
運営指導(旧 実地指導)とは
(指導監査と呼ばれることもあります。)
役所の職員が、あなたの障害福祉サービス事業所を直接訪問します。
頻度は様々ですが、どの事業所も必ず運営指導は行われます。
厚生労働省は、「3年に1度、運営指導を実施するように」と言っています。
(実際は5〜6年に1度くらいのペースで運営指導が行われています。)
この運営指導では「事業所を法律どおりに運営することができているか」をチェックされます。
どんなことをチェックするの?
では、役所の職員は、具体的にどういったことをチェックするのでしょうか?
実は、障害福祉サービス事業所を運営するにあたって、守らなければならないことがたくさんあります。
ハッキリと申し上げて
そんなルール
知らんわ!
みたいなことが山ほどあります。
たとえば……
・いろんな委員会の設置
(虐待防止、身体拘束適正化、感染症対策など)
・BCPは作るだけじゃなく、研修と訓練が必要
・その他にも、法律で決められた研修や訓練が必要
・WAMネットでの情報公開は義務
(貸借対照表などを含む)
・利用者さんに、毎月、代理受領通知書を渡す
いかがでしょうか。
あなたは、すべてご存じでしたか?
これ、実はすべて基本中の基本なのです。
障害福祉サービス事業所を運営するには、こういったルールを守らなければなりません。
役所の職員は、その「ルールを守れているか」を確認しに訪れます。
ぜんぶ知ってて 当たり前!?
役所の職員は、こういったルールを
あなたがすべて知ってて当たり前だと思っています。
ですから、運営指導のときは専門用語などが平気で飛び交います。
(中には丁寧に説明してくださる役所の職員もいらっしゃいますが、極めて少数です。)
「役所の職員が何を言っているのかがわからない。」
もう、10年以上前からずっと言われ続けています。
実際、事業所に勤務していたときの私も「役所の人、何言ってるか意味わからん。」と思っていました。
わからないだけなら
まだマシです
「そんなこと言われてもわからないよ……。」と口ごもる。
それだけならまだ良い方です。
(制度を理解できていないこと自体は良くないのですが。)
本当に怖いのは「頭が真っ白になって、言わなくてよいことまで口にしてしまう」ことです。
その結果、口にした内容によっては役所の職員に目をつけられてしまいます。
そうなると、根掘り葉掘り書類の確認をされることでしょう。
すると、どういった問題が起こるでしょうか。
・単純に、運営指導がいたずらに長引く
・何も言わなければ指摘されずに済んでいたことを指摘されてしまう
・その結果、報酬の返還や減算につながることも……。
ちょっと想像しただけで、どっと疲れますね……。
運営指導を乗り切るために
大切なことは?
身も蓋もないのですが
とにかく準備する
しかありません。
もっと言うと
普段から準備する
こっちのほうが大切です。
直前の準備・対策も大切なのは間違いありません。
ですが、普段から正しく事業所運営をしていれば、運営指導を恐れる必要はありません。
そうは言っても、日々の業務が忙しいので、そんな余裕はないです。本当に。
私も経験してきましたが、「普段から準備するって、毎日何時間残業せなアカンの?」と思ってました。
直前の対策だけでは
やっぱり限界がある
障害福祉サービス事業所で働く方は、毎日忙しいんです。
それは間違いありません。
でも。
運営指導の対策は、一夜漬けというわけにはいきません。
やっぱり、限界があります。
だから、普段からの準備はどうしても欠かせません。
たとえば
とっても極端な話
あなた「明日、運営指導が来るんです。」
私「あら、それは大変ですね。」
あなた「そこで、相談があるんです。」
私「何でしょうか?」
あなた「必要な研修ができていなくて減算になりそうなんです。」
私「それは困りましたね。」
あなた「研修をしたことを証明する書類を作ってくれませんか!」
……いやぁ、そんなこと言われましても。
ここまで追い詰められてしまうと、私にはどうしようもありません。
「してないものはしていない」のですから、減算を受け入れて報酬を返すしかありません。
何を準備すればいいの?
運営指導の事前準備
では、運営指導にはどういった準備が必要になるのでしょうか。
当事務所では、以下の資料などをもとに準備・対策をします。
・事業者ハンドブック(緑色・指導監査編)
※市販されているものです
・役所が用意している資料
※役所のホームページに掲載されていることもありまず
役所の職員も、これらの資料をもとに運営指導を実施します。
「じゃあ、これさえあれば準備・対策できますね!」
このようにおっしゃる方も多いのですが、半分正解で半分不正解です。
正確には「これらの資料を読み解き、意味を理解できれば対策可能」と言えます。
実物をご覧ください
尼崎市ホームページ
「指導監査等事前提出資料の様式について」
このように、尼崎市のホームページには運営指導用の資料が掲載されています。
・資料に目を通し
・意味を理解した上で
・必要な準備を進める
これができれば、完璧な運営指導対策と言えます。
読んでみたけど
なにを言っているのかが
分からない……
そうなんです。
実は、大半の方がそのようにおっしゃいます。
かく言う私も、事業所に勤務していた頃は、何が何やらさっぱり分かっていませんでした。
※注:資料に目を通し「問題ない」と感じられた方は、この記事をこれ以上読むメリットは薄いです。
ただ、どれだけ分からなくても、役所の職員は必ずやってきます。
そして、基準をクリアできていない問題点を指摘されます。
事前準備の優先順位
何から手をつければいいの?
厳密に言うのであれば
先ほどの資料に書かれていることは、《すべてクリア》しなければなりません。
しかし、これだけ膨大な項目があるため、優先順位をつけることも不可能ではありません。
【優先順位】
1.減算を受けない体制を取れているか
2.正しく加算を取れているか
3.その他報酬に影響するポイント
4.報酬に影響は出にくいが重要な基準
やはり、まずは報酬(売上)に直接的に影響する部分から準備を進める方が良いでしょう。
減算や返戻は絶対に避けたいですもんね。
1.減算を受けない体制
主な減算って、どういったものがあるかご存じでしょうか。
すぐに思い浮かばないようでしたら、要注意ですよ!
・虐待防止措置未実施減算
・身体拘束廃止未実施減算
・情報公表未報告減算
・業務継続計画未策定減算
他にもあるのですが、まずは、この4種の減算を押さえておきましょう。
減算については、こちらもあわせてご覧ください。
2.正しく加算を取れているか
これ、意外と見落としがちです。
・人員配置が不足したまま加算を取っていた
・加算要件が変わったことを知らずに加算を取っていた
・よくわからんけど加算が取れたから取ってた
なんとなーく加算を取っていると、こういった状況になりがちです。
では、加算要件を満たしていない状態で加算を取り続けるとどうなるのか。
もちろん、返戻です。
違反している期間の加算を返さなければなりません。
そうなる前に、要件を満たすことができているか確認をしましょう。
3.その他報酬に影響するポイント
ここも、つい忘れがちなポイントです。
・人員配置基準を満たしていない
・支援計画を正しく作れていない
・在宅支援に必要な要件を満たしていない
◇「7.5:1」で申請していたが、実際は「10:1」になってしまっていた
◇支援計画を作っていない、アセスメントやモニタリングを実施していない
◇在宅支援において、1日2回の連絡や月1回の訪問・通所面談を実施していない
また、モニタリングなどを実施していたとしても
「記録が残っていなければやっていないのと同じ」
ということにも注意が必要です。
他にも、施設外就労を行っている場合の人員配置は間違えやすいので、要注意です。
施設外就労先も、事業所内も、両方とも人員配置基準をクリアしてください。
4.報酬に影響は出にくいが重要な基準
・重要事項説明書や利用契約書が、運営規程との整合性が取れているか
・非常災害対策指針や各種マニュアルの策定
・ハラスメント対策指針の策定
などなど
報酬に影響が出にくいこともあり、認知度も低めです。
ですが、何も準備しないというわけにもいきません。
なぜなら、報酬に影響が出にくいだけであって、最悪営業停止や新規利用者の受け入れ停止などが想定されるためです。
まとめ
そんなルール
知らんわ!
ということがたくさんあったのではないでしょうか。
報酬改定のたびに「義務化」がどんどん増え「減算」も同じように増えています。
そうは言っても「知らなかった!」としても、減算や返戻は容赦なくやってきます。
だからこそ、日頃からアンテナを張って、準備をすることが欠かせないのですね。
そして、ここまでご覧いただいた方に、これ以上の説明は不要だとは思いますが
優先順位をつけることはできるものの、準備しなくて良いことは何もない
ということもお分かりいただけたのではないでしょうか。
「運営指導の通知が届く前に、普段から体制を整えること」
これこそが、なによりも大切なのです。
※実際は、支援などで忙しくて余裕がないんですよね……。
※事業所に勤めていた頃の私も準備できてませんでした……。
少しでも、事業所の負担を軽減するためにも。
そして、運営指導に慌てなくても済むように。
少しずつ、少しずつ、準備を進められることをおすすめいたします。
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気になったことがございましたら、お気軽にご相談ください。
あなたと、事業所運営のお話ができることを楽しみにしています。